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【プレストーリー】ユイのこと/2   TEXT BY 大九明子
d0111057_1619157.jpgある秋の日。渋谷の雑踏で信号待ちをしていたユイは、メールの着信音に、慌てて大きな荷物を足下に置いた。
ようやく上着のポケットから携帯電話を取り出し広げる。
「なぬ?」
文面を目にした途端、眉間にしわを寄せた。
その時信号が変わり人波が動き出したので、ユイはそれを避けるように道ばたに佇むと、慣れた指使いで返信を打ち始めた。

To サチ
Subject Re:ユイ、代返バレたよ。
…サチ~~~(┯_┯)
「代返しておくから行っておいで」ってサチが言うから、
今日の講義、気軽に休んだのにィ~~!
ま、サチのその声と話し方じゃ絶対バレるなあとは思ってたけどね…。
結局、白金の物件はあんまり良くなかったし。
カウンターが狭いって、お姉ちゃん言ってた。
当面は店員はお姉ちゃんと私だけなんだから、
私はあのくらいあれば十分だと思うんだけどね…。
今から学校行くので、続きは後で詳しく話


「うぃ~~~っす、ど~も、うぃ~~~っす」
必要以上に黒い顔の少年が二人、無遠慮にユイに声をかけてきた。
「違います、違います違います」
会話にならない言葉を返し、ユイは彼らに背を向けた。
勝手の違う相手と諦めたか、少年達が去って行くと、
ユイは低く「ふん」と鼻を鳴らし、メールの続きを打ち始めた。

すね。渋谷怖い。
そうです何を隠そう今私は渋谷にいるのです!
なぜ渋谷かといいますと…。
お姉ちゃんにさあ、カフェに置く椅子のデザイン頼まれてたって言ったっしょ、
もうすぐお姉ちゃんの誕生日だからさー、
その椅子のミニチュア作ってプレゼントしよっかなーと思って、
ハンズに素材を買いに来たのでした!
ラッピング用品も買ったさー。かわいいよ~。
YUI☆彡


送信ボタンを押して、携帯をポケットに滑り込ませると、
ユイは足下の荷物を持ち上げて歩き出した。
「あ、すいません…すいません…あ、ごめんなさい」
駅が近付くと人の量もいっそう増す。
大きな荷物を持ったユイは人にぶつからずには三歩と進めない。
押し寄せる人波にヘドモドと揉まれていると再びメールが鳴った。
荷物を抱えたまま何とかポケットに手を突っ込むと、ユイは携帯を広げた。

To ユイ
Subject Re:Re:ユイ、代返バレたよ。
私の声と話し方だとどうして絶対バレるのですか。
渋谷怖い、同感。ハンズなら傘の取っ手買って来て。折れちゃった。


「…なぬ」
ユイはくるりと向きを変え、駅に背を向けると、再び渋谷の奥深くへと押し進むのであった…。
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by koisurumadori | 2007-08-08 10:00 | pre_story | Comments(2)
Commented by だぶ at 2007-08-09 21:06 x
ユイは根っからのいい人なんだなぁーって思いました
Commented by 丸やん at 2007-08-09 23:52 x
何かこれ見るとマドリのユイとガッキーってほとんど同一人物みたいですね(^^;ガッキーも東京出てきたときこんな感じだったんじゃないかなーと思いました。
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